現在、パブリックコメントが求められている建設業法施行規則改正の省令案ですが、経営業務の管理責任者(経管)の要件緩和のほかに、建設業許可業者に事業承継または相続が生じた場合における認可の手続きが新設される予定となっています。
ほとんどの建設業者は中小企業に分類されますが、経営者の高齢化が進んでいます。現行の法制度では、事業承継や相続が発生した際に、建設業許可をそのまま承継することができず、改めて建設業許可を新規で取得する必要があります。そうなった場合、どうしても事業の空白期間が生じることになります。
事業承継や相続が生じた場合に、空白期間を生じないように、事前に許可行政庁の認可を受け、事業承継等の効力発生と同時に、建設業許可を承継できるようにするのが、今回の法改正の趣旨となります。
改正案では、次の条文を新設し、それぞれについて認可申請時に必要となる書類を規定しています。
<譲渡・譲受け、合併、分割の場合>
<相続の場合>
事業承継となると、通常、行政書士だけで対応できる案件ではなくなると思います。税理士、司法書士、社会保険労務士など他士業と連携しなければ、会社全体の事業を承継することはできません。ただ、建設業許可業者と深いつながりを持つ行政書士は多く、建設業許可の承継について、相談を受けることは今後増えるでしょう。そういった場合に、適切な専門家と連携していくことができるように、建設業に関する専門知識、行政書士業務に留まらない幅広い知識、そして人脈の構築が、これからの行政書士に求められてくるように思います。